- 2009年6月 2日 03:51
- 徒然ムサビ
美大ブログサミットのことを書く前に大事なシンポジウムの話を書かせてもらいます。
ムサビには45年前に作られた「4号館」というアトリエ棟があります。
故 芦原義信教授が設計した建物で(芦原先生は他にもソニービルや東京芸術劇場も設計されています)、全てのアトリエに大きな北側ガラス窓がついていて、デッサンしたり絵を描くためには最高の環境が構築されています。
(なぜそれが最高なのかは「ムサビペディア:自然光」を参照ください)

4号館の詳細については、芦原義信デジタルフォーラムに出てるのでそちらをご覧下さい。
というかTOPページ自体が4号館になってるわけだけど(笑)
■武蔵野美術大学アトリエ棟
ちなみに「岡山のきび団子の箱がモチーフになっている」という説がありますが、それは都市伝説です。
4号館は間違いなくムサビを象徴する建物であり、そしてそれは「美大らしさ」を象徴する建物でもあるでしょう。
ただ。
「歴史」「意匠」ということを抜きにすれば、「使い勝手」が悪い建物なのも否めません。
螺旋階段を使わないとアトリエに入れないんですが、その螺旋階段は100号以上のパネルを上げられないんですよ。
今の学生さんだと100号なんて大きな作品に入りませんからね。
また、45年前の建物だからいろいろ不具合も出てきてるし、バリアフリーなんてもってのほかだし、現在の耐震基準をクリアしていない。
「だったら4号館を取り壊して、そのスペースに新しい建物を建てればいろいろな問題が解決できる!」
数年前、そういう空気が学内に生まれ、一度は取り壊しの方向で話が進みだしました。
ムサビは某T美さんのように「山を削れば土地が出来る」ような環境じゃないので(笑)、建物をたてるには、何かを壊してからじゃないと無理なんです。
ですが、長い長い、ムサビを二分するような議論の結果、本学は4号館を耐震工事及び改修して「共存」する選択を選びました。
美大の場合は建物が教材でもあるからです。
この選択が正しかったのか。
それはまだわかりません。
20年後ぐらいの人達に判断してもらうしかないです。
と、かなり前置きが長くなりました。
その「残すか、取り壊すか」で揉めに揉めた4号館に関するシンポジウムが6月4日に開催されます。
■シンポジウム「武蔵野美術大学4号館 シンポジウム"建築の創造と再生"
- 日時:2009年6月4日(木) 午後4:30~5:30
- 場所:武蔵野美術大学1号館 103号教室
- 対象:全学学生 ※外部の方の聴講も歓迎いたします
●基調講演:保坂陽一郎(本学建築学科名誉教授)「4号館設計のころ」
●パネラー:
- 赤塚 祐二(本学油絵学科教授) 「使用する油絵学科の立場から」
- 石岡 俊二(芦原建築設計研究所)「4号館の耐震設計・修復工事」
- 宮下 勇(本学建築学科教授) 「4号館からキャンパス計画へ」
●コメンテーター:
- 高橋 靗一(建築家)
- 中谷 礼仁(建築史家)
●総合司会:長尾 重武(本学建築学科教授・前学長)
当時4号館設計に関わった側、現在4号館を使っている側、今回改修工事設計を行った側、これからキャンパス計画を任されている側の意見を同時に聞いて検証するというシンポジウム。
きっと面白い話が聞けるはずです。
と、長々と4号館の経緯から紹介した理由がありまして。
ムサビ吉祥寺キャンパスのご近所・東京女子大学さんでは旧体育館を残すかどうかで揉めに揉めています。
■『旧体育館残して』 東京女子大解体を計画 学生、卒業生ら招き講演会:東京新聞
誰も「歴史のある建物を壊したい」と思うわけがありません。
残せるのなら残すに決まっています。
でも、昔の建物を尊重しすぎたばかりに需要に対応できず、全入時代の厳しい大学競争に取り残されてしまう可能性があります。
入試改革・カリキュラム改革・財務改革にも限界があるわけで。
「大学の歴史を守る」ことは「大学の理念を守る」ことであり、それは大学の最重要事項なんだけど、そのために大学が潰れてもいいのか?
「20年後も30年後も、その大学が存在している」と確信を持っていえるのは、大きな大学さんぐらいだけです。
「大学も大変なんだから、古い建物をぶっこわして、じゃんじゃん新しくしちゃえばいいじゃん!」とは思っていません。
「大学が歴史ある建物を残すかどうか」ってかなり難しい問題であり、難しい状況である、ってことをわかってもらえれば。
東京女子大学関係者の方も、取り壊し反対派の方もこの4号館シンポジムに参加されてみてはどうでしょうか。
何か参考になるものがあるかもしれませんよ。
Comments:1
- メイ 2009年6月 4日 22:04
東京女子大学は私の母・姉の母校であり、私がムサビに落ちたら行く予定だった大学です(色々と事情の多い受験生だったので)。
森の中の邸宅って感じで、異国情緒のある学舎だなーと思った記憶があります。何度も行ったことがあって非常にシンパシーを感じる場所なのですが、
以前本館(でいいのですかね)を建て直したときはムサビの4号館と同じく、これまでとほぼ同じ設計を採用したそうです。
旧体育館はPV撮影にも使われたりしてて、とてもいい雰囲気の建物なので残してほしいと思うんですけど...
母が学生の頃から既に旧体育館だったらしいので、どうなるか分からないですね......
というか4号館の改修もそんなに揉めていたとは....
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